AIREX 株式会社　技術顧問 関根嘉香（東海大学理学部教授）

清潔志向の高まりを背景に、「におい」に対して敏感な人が増えている。
化学物質を原料とする工業材料の「におい」についても同様であり、「におい」の程度
が製品価値に影響する時代になってきた。
近年、急速に需要が高まっている 3D プリンティングのプロセスでは、レジンの造形・
洗浄工程において「におい」の問題が発生することがある。
しかしながら、岡本化学工業株式会社の 3D プリンター用レジンは、造形時の「におい」
の発生が少ないことが経験的に知られていた。
これを実証するため、ヒトの嗅覚を用いた官能試験を実施したところ、40℃に加熱し
た同社３Ｄプリンター用レジン 3 種類は、いずれも他社品よりも「におい」の発生が
少ないことがわかった。
発生した「におい」の原因物質をガスクロマトグラフ / 質量分析法により測定した結果、
同社レジンから生じる揮発性有機化合物の総量は、他社従来品のものよりも少なく、
官能試験の結果を支持していた。
以上のことから、岡本化学工業株式会社製 3D プリンター用レジンの使用は、3D プ
リンティングプロセスおける「におい」問題の予防・改善に寄与するものであり、人
に優しいモノづくり環境の実現が期待される。2023 年 6 月